バグパイプはひっきりなしに

新日本プロレスにまつわる記事を毎日投稿!

飯伏幸太とIWGP世界ヘビー級王座

二冠統一決定か

 

www.tokyo-sports.co.jp

 

 飯伏幸太選手が望んでいた二冠統一が実現される運びとなった。内藤選手がインターコンチベルトにのみ挑戦することを表明した理由として今すぐにでも二冠が統一されてしまいそうだというものだったが個人的には「そんなスピード感で統一はしないだろう」と思っていた。脈々と受け継がれてきたIWGPヘビーとインターコンチの歴史をそう簡単に変容させる訳がないと考えていたが東京スポーツの記事では統一が決定事項のように書かれている。一夜明け会見でも飯伏選手の主張は大きく変わらずといったところ。これからどういった動きがあるかは置いておき、二冠統一に絡む個人的な考えをいったん整理したいと思う。

 

博打感は否めない

 ベルトというのはプロレスにおける最重要アイテムである。そこにテコ入れをするのは個人的には博打だと感じてしまう。団体の象徴たる存在が変わってしまうのは大きな推進力を生む可能性があると共に急ブレーキにもなってしまうのではないかという懸念がある。人間は弱っちいので不安の感情が先行する、急ブレーキしてしまうのではないかという考えが頭の中を駆け巡る。

 そしてプロレスは選手と観客との共同作業だと考えている自分としては、声が出せないことで観客の感情が見えづらいコロナ禍での興業が続く中、観客のレスポンスが明確に得られない状態で大きな決断をしたことに拒否反応が出ているのかなと考えている。

 ここで内藤選手を例に挙げるのは心苦しいがスターダストジーニアス時代に彼はベビーフェイスでありながら観客からブーイングを受けた過去がある。会社の意向と観客の願望に大きな溝が生まれたことで起こった事故だと考えている。これがIWGP世界ヘビー級王座でも起こってしまうのではないかという恐れがある。

 

飯伏選手に任せるという事

 筆者は飯伏幸太選手のことはとても好きである。理由として美しい体をしていて技も派手、入場曲がカッコイイという理由があるのだがその一方で欠点も明確で発信の仕方が多くの人間には理解しがたいところがある、発信力が弱いわけではないのだが誰にでもわかるような説明や因縁のつけ方が上手ではないのだ。

 特に発信力が強く言葉でも客を乗せられる内藤選手の手法に慣れたファンであればあるほど飯伏選手の〝難解〟な発言の数々に混乱しているところにベルト統一という一大事件が起こり感情に整理がつかないのではないだろうか。雑にまとめるなら意味不明な発言をしている人がトップに立って大鉈を振るう状態に映るのではないだろうか。コメント力に関しては新設ベルトを輝かせていくうえで必須になってくると考えられるので成長してくれることを心の足から願っている。

www.youtube.com

  正直1.5でのsanada選手とのマイクアピール(上の動画参照)を見たときは頭を抱えたがキャッスルアタック最終戦後に見せたエルデスペラード選手とのマイクアピールでは「しょっぱかった」「8年前だよ(正確には7年前)」といった言葉での殴り合いが出来ており明確な成長が見られた。

www.youtube.com

  こういったアピールが多発できるようになってくれば飯伏選手の評価は上がってくるはず、心惜しいのは徐々に成長している飯伏選手を見ていると統一の時期が急すぎたのではないかと思ってしまう。もっと成熟したチャンピオンとして統一するのであれば受け取る側にも様々な考え方が広がっていたはず。まだ「二冠統一するの!?」といった心構えの人が多い状態では非難を浴びやすくなるのは致し方ない。

成長するチャンピオンとその先に

 先ほども述べたように飯伏選手はチャンピオンになってからコメント力が向上しており立場が人を作ることを体現し始めている。個人的にはもう少し見守っていきたいし、飯伏選手ならそれが出来ると信じている。

 ファンというのは勝手なもので面白いものを見たい、常に新鮮なものを提供してほしいなどと願っているくせに飯伏選手のような出る杭を打とうとする、自分もそうだけど冷静になって考えれば、棚橋選手も中邑選手も内藤選手もそれまでの空気を破壊して新しい価値観を生み出したからこそ手のひらを返した大勢からから支持されてきたのだ、破壊がなければ成長もない。

 停滞気味だった新日本の空気を一変させた今回の決断は先述したように博打である。しかも世界に打って出る博打だ。個人的な解釈としてIWGP世界ヘビー級ベルトはこれまで以上に外敵との抗争で磨かれていくのではないかと考えている。こう考えれば少し合点がいくのだ、インターコンチの元来の役割は海外の選手と戦うためのベルトであったはずである。インターコンチ廃止ではなく統一という形を選んだのには少々内向きであったIWGPヘビーをもっと外部に開けたベルトという認識にして、アントニオ猪木氏がIWGPヘビーを創設した当初の世界最強を決めるという役割に再び近づけていくのではないかと思う。逆に言ってしまえば新設ベルトがこれまでのIWGPヘビー級と近似した役割をするのであれば筆者としては納得がいかない。

 

なんだかんだで楽しみ

 新しいベルトが作られて時代が変わっていくところを見ることが出来ているワクワクが正直なところ多分にあり、不安要素も多数あるが未知の世界に足を踏み入れていくことが出来るチャンピオンに対するリスペクトがある。数年後どういった形でこの出来事が語られるか分からないが筆者としては「飯伏は逃げずに負けずに諦めなかった、裏切らなかった」と語られるようなそんなストーリーがこれから広がっていくと信じたい。