バグパイプはひっきりなしに

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3.4 旗揚げ記念日のレポート

 

 

 興業全体を通して熱戦だらけだった。3.3旗揚げ記念日、各試合で気になったことと感じたことを記していく。

 

第一試合 後藤洋央紀&本間朋晃&ゲイブリエル・キッド&マスター・ワトvsタイチ&鈴木みのる&ザック・セイバーJr.&DOUKI 

 試合中のムーブとしてはゲイブリエルキッド選手のドロップキックが最も印象に残っているかもしれない、毎度いいドロップキックだと思わされる、彼のドロップキックは客を呼べるものだと確信しているからこれからも磨きをかけていってほしい。

 試合後NJC一回戦での対戦相手同士がヒートアップ特に鈴木みのる選手と本間朋晃選手の張り手の応酬には心が揺さぶられた。期待度が決して高いと言えなかった彼らの対戦だが正直猛省した。しっかり注目して見るべき試合だと認識するに至ったほどの熱いぶつかり合いだった。

 本日3月4日に行われる後藤タイチ戦にも注目だ。試合後にらみあう両者の迫力は物凄かった。双方技が派手かつ受け身もうまいので名試合間違いなしだ。

 

第二試合 田口隆祐&トーアヘナーレ&デビッドフィンレー&ジュースロビンソン&棚橋弘至VS石森太二&ジェイホワイト&チェーズオーエンズ&KENTA&EVIL

 まずはフィンジュースの二人にお帰りと言いたい。インパクトで見せた好試合をそのまま再現できるようなコンディションで新日本に帰ってきてくれた。新衣装も非常に筆者好みのデザインでジョジョ5部に出てくるパープルヘイズみたいでかっこよかった。

 この試合、特筆すべきは田口選手が見せた「ドラゴンリングイン」だろう。コーナートップからリング中央のEVIL選手目掛けて跳び技を放ったと思ったが何故か至近距離に着地、即座にラリアットを放つがあえなくカウンターのEVILをもろに食らってKO。プロレスを見ていてあんなに笑ったのは初めてかもしれない。あとEVIL選手も笑いをこらえていたことを筆者は見逃さなかったからね。

 この試合は一種の清涼剤のようでもあった。二冠統一戦やNJC一回戦を後半に控えた会場の空気を少し和らげたのではないだろうか。田口監督、ジュースロビンソン選手の二人はやはり興行に出てくれるだけでパッと明るさが増すことを再確認した試合だった。

 NJCに参戦する選手の中ではデビッドフィンレー選手が気になった。なにせコンディションが良さそうな動きをしていたから。彼はタッグ戦線にとどまることなくシングルでも上位に食い込めるポテンシャルを秘めていると考えているため健闘を祈る。

 

第三試合 SHO&石井智宏&オカダカズチカVSBUSHI&SANADA&鷹木慎吾

 SHO選手のスピアーは何度見ても絶品だ。アマチュアレスリング出身のバックグラウンドも垣間見える良い技だと思う。

 オカダ選手の腰の状態が思わしくなさそうだったのが気がかりだ。彼は新ベルトと旧ベルトを巡る論争でも中心人物になるとみられるので怪我無くNJCやその後の試合を乗り切ってもらいたい。

 関係性に着目するとSANADA選手と石井智宏選手の試合が楽しみである。広島で行われた飯伏選手との二冠をかけたタイトルマッチ、試合は好試合であったもののプロレスというには美しすぎるものを見ている感覚になった。泥臭さや執念の部分がもう少しだけ表層化して欲しいと思ったのを覚えている。厳しい意見だが筆者としてはSANADA選手には突き破るべき殻がまだあると感じている。

 そこに石井智宏選手がぶつかるというのは朗報だ。言葉は少なくとも石井智宏選手の考えや気合というのはリング上はもちろん、時々こぼすように発するバックステージでの言葉からも伝わってくるのだ。まさにSANADA選手に足りない部分を補ってくれる選手なのでぶつかり合って様々なものを吸収してもらいたい。

 

まさかまさかのドームと横浜

 ぶったまげた。 

 特報映像を見て「おぉ~横浜スタジアムで試合するのか、去年の神宮のスケールアップ版をやるのね」と思っていた直後、映像には東京の文字が。屋外球場でプロレス興行をすることを定番化していくのだと考え、バロン山崎さんの『神宮球場!!』のアナウンスが来るだろうと待ち構えていると予想の上を行く「東京ドーム」というワード。

 頭真っ白になるっていうのを初めて経験したかもしれない。

 かつての新日本は年初のみならず数回は東京ドームを使った興行を行っていたことは知っていたがまさか今年復活するとは。ゴールデンタイムにプロレスの試合が組まれていた頃の幻想だと思っていた年に複数回、東京ドームを使用する興行を再び行うというアナウンスにワクワクしている。

 個人的な予想としてはAEW等、海外団体との抗争が行われるのではないかと考えている。もしくは二部制の発表があるなどともかく先の展開が全く読めなくなってきた。楽しみ。

 

 NJC開幕戦 第四試合 小島聡VSジェフコブ

 小島選手もコブ選手もまさに重量級といった出で立ち。今回のNJCはユナイテッドエンパイアが躍進すると個人的に予想しているため最初はコブ選手に肩入れしていたのだが小島選手恐ろしい。とても50歳の人間とは思えないボディと切れのある動きを見せ、何としても勝ちがほしいという執念が全身から伝わってきた。

 しかし相手は超のつくような怪力、ジェフコブ選手だ。場外に飛んだ小島選手をキャッチしてから放り投げる場面を見て小島選手が勝てるビジョンはなくなってしまった。

 正直なところもっと余裕でジェフコブ選手が一回戦を突破すると考えていたのだが結果はそうではなかった。コブ選手の試合後の表情からは余裕は感じられず第三世代の意地を見た試合だった。

 

セミファイナル NJC一回戦 内藤哲也VSグレートオーカーン

ericroxxett.hatenablog.com

 こちらの記事でもお伝えした通り、オーカーン選手が個人的に応援している選手筆頭である。器用貧乏だった印象の試合が棚橋選手とのNEVER戦で明らかに面白い試合をするようになっており、本人の熱が伝わってきたことでファンになってしまった。

 しかし相手はあの内藤選手である。チャンピオン格でありながらベルトを保持していなくても輝きが衰えないレジェンドの域に片足を突っ込んでいる偉大な選手だ。

 オーカーン選手が勝つには膝を攻めるしかないというのは試合前から考えていたがシッカリと膝を攻めていった。特筆すべきは膝へのアイアンクローだろう。誰でも出来て、思いつきそうなのにあんな膝攻め見たことがなかった、フィニッシュ技のドミネーターは相手をアイアンクローで締め上げながら叩き落す技であるからその説得力は抜群だ。

 その後も膝を攻め、試合を有利に進める小技、様々な締め技を的確に使用し、最後まで膝を重点的に攻め立てた。最終的にはレフェリーストップという形で試合を終わらせ、ついにシングルマッチで大物を倒すことに成功した。

 この試合では敗者になった内藤選手だがオーカーン選手の辮髪を引っ張ったり、後ろで腕を組むモノマネをしてみたりと挑発することが本当に上手だと感じた。しばしば内藤選手は王者ではなく追いかけたり自由な試合をしている方が面白いと言われるが筆者もその意見に同意だ。チャンピオンであった時より個人的にはイキイキしているように見える。

 内藤選手は先のインターコンチネンタル王座戦もケガを押しながらの出場だったしコンディションが万全とは言えない、試合に出たいというはやる気持ちはNJCの間だけでも抑えて、ゆっくり休んでほしい。

 オーカーン選手にとってはめでたい。凱旋帰国後スポットライトこそ当てられるものの、試合で結果が出せたとはいえずゼンパイアという蔑称までつけられた。しかしここで内藤選手に勝ったことが大きな自信になるはず。ユナイテッドエンパイアの活躍を楽しみに次の試合を待つ。

 

メインイベント 飯伏幸太VSエルデスペラード

 まず最初に、筆者は飯伏選手とデスペラード選手両方のことを特段応援している、いわば俺得な試合だった。だからこそ、この試合でおこったヒールとベビーの逆転現象は大きなカタルシスがあるとはいえ心が痛かった。黒いベビーと白いヒールの対比を時間が経った時に最初はこうだったと苦笑しながら見られるようになっていてほしい。

 

 観客を味方につけたのは圧倒的にデスペラード選手だった。足攻めにも拍手が起こり、デスペラード選手がする一つ一つのムーブには歓迎ムード、飯伏選手の行動にはまばらな拍手といった状況で試合は進む。

 しかしさすがはヘビーチャンピオン飯伏選手、観客の反応が悪かろうと何だろうとデスペラード選手に主導権は握らせない。フットスタンプで迎撃するなどしてデスペラード選手の勢いを殺し圧倒していく。

 ただしデスペラード選手にはある意味で必殺技と呼べる一撃がある。「ロコモノ」だ、BOSJ27で何度も何度も不利な試合の流れを変えてデスペラード選手を優勝決定戦にまで引っ張ったのはこの拳あってこそだった。

 決まれば流れを持っていける起死回生の一発を繰り出したところに飯伏選手のハイキックが同時に放たれ両者リングに倒れこむ。筆者はこの場面が試合の大きなポイントだと思っている。ロコモノが決まればエルデスペラード選手にも勝機があると踏んでいた、それは先ほど述べたように流れが激変する一撃だから。しかしロコモノを当てることにこそ成功したが迎撃を食らい流れを断たれた。

 デスペラード選手は強い。圧倒されながらもカミゴェを回避して即座にヌメロドスに移行。この関節技は決まれば終わると思うレベルで相手をマットに沈めてきたがこれすらも飯伏選手は耐え抜き最後はカミゴェを連発で浴びせて勝負あり。

 試合後両選手はがっちりと握手を交わし会場からは拍手が、健闘を称えあったのちリングサイドで見守っていたタイチ選手と金丸選手と共にデスペラード選手は退場。

 

マイクと様々なもの

 この試合で大きく心に残ったのは圧倒的な飯伏選手の強さと覚悟だった。試合では圧倒しているもののマイクは難解でありすべてのファンが乗っかれるものではない。そんな批判を戦う姿勢と伝わらないながらも実直に伝えようとする姿勢でかき分け始めたのではないかと思う。

 憶測だが飯伏選手は今、目の前が真っ暗なのではないだろうか。だから試合後ライガーさんや棚橋選手に寄りかかってしまうような発言があった。特に棚橋選手はどっしりとした表情でその発言をとらえた。

 筆者には「そうじゃないだろ」という棚橋選手の思いが彼の表情から伝わった。

 自分で打ち勝たなきゃ意味がない。試合中「チャンピオンとしての査定期間に入った」と何度か繰り返したことからもそれは明白である。独り立ちの時なのだ。

 思えば飯伏選手の隣にはいつもケニー選手、中邑選手、棚橋選手といった友人であり師匠である存在がいるのが当たり前だった。

 でももう飯伏選手は追われる側の人間になった、となりで先の見えない将来を照らしてくれる存在はもういない、自分で照らしていかなくてはならないのだ。

 非常に苦しい時期だと思うが時代を作った選手たちは厳しい時代を乗り越えて現在の地位にいる。飯伏選手が一皮むけるためにもこの試練を乗り越えてほしい。

 

まとめに

 NJCやベルト戦線、東京ドームでの試合いろんなものが変化するこれからの新日本プロレスをこれからも注視して追っていきたい。