バグパイプはひっきりなしに

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3.6 NJC1回戦レポート

 

本間朋晃VS鈴木みのる

 前哨戦から熱い張り手の応酬を繰り広げていた両名に筆者は熱視線を送っていたが、期待にたがわない熱い試合が展開された。

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 ↑の動画を見てから筆者は本間選手のファンである。

 歩行さえままならない状態から彼はセルリアンブルーのリングへと帰ってきた。ケガ以前の彼の動きに比べれば現在の動きはすぐれているとは言えないだろう。

 身体的なキレの良さこそ失ったかもしれないが、負けん気の強さとタフネスをさらに向上させて本間選手はカムバックした。

 彼のケガ後の集大成をこの試合で筆者は見たと思う。

  鈴木選手のゴッチ式のムーブから二度も抜け出しロケットこけしで迎撃する。

 本間選手のエルボーにぐんぐんと力が込められていき鈴木選手を本気にさせていった。

 何発も張り手や打撃を受けても止まらない本間選手の姿に心が打たれた試合だった。

 この試合は個人的にプロレスという競技について再考することに繋がった。

 体の状態が良いとは決して言えない本間選手が観客の心を打つ試合ができる。

 それはケニーオメガ選手と棚橋弘至選手がイデオロギー闘争をした時の煽りVで棚橋選手が語った

 「体力のあることや、凄い技が出来ることが重要じゃない」「魂のこもったエルボーなら一発で心に刻める」

 というプロレス観を体現したものだったと思う。

 派手なムーブがなくても、身体は自由に動かなくとも、観客の心を揺さぶる試合ができるというのがプロレスという競技の根っこの部分だと考えさせられた一戦だった。

 

ジュースロビンソン VS KENTA

 ジュース選手は非常に陽気なキャラクターが特徴的で個人的に好きだが、世間の評判は良好とは言い難い。

 試合のテンポが悪い部分が散見され、対戦相手に合わせて柔軟な試合を行う器用さも持っていないというのがおおよその意見で筆者も試合運びに関しては同様の意見だ。

 しかしセントーンに代表されるように技の一つ一つは悪くない。

 何かあと一歩で大化けするはずなのだ、今はその時ではないがいつか来るジュース選手の華々しい未来を期待している。

 KENTA選手はUS権利証をかけて戦う予定だったジュース選手が欠場した理由である目のケガにフォーカス。目の周辺部を攻めるというアイデアだ。ゴングで殴打したり鉄柵で顔を挟んで攻撃するなど相手の弱点に付け入る狡猾さを見せた。

 ジュース選手が新調したヘアスタイルにも着目し執拗に引っ張るなどして精神的ダメージを与えていく。 

 場外でのファイトもあり多彩な試合展開で試合は進んでいく。

 この試合の決着はジュース選手の〝目〟が焦点になるだろうと予測した筆者はGo 2 Sleepが決定打となるのだと思っていたからフィニッシュには驚かされた。

 ゲームオーバーでジュース選手からタップをゲットしたKENTA選手が二回戦へコマを進めた。

 KENTA選手は記憶に新しいAEWへの殴り込みに始まりジョンモクスリー選手と悲願のタイトルマッチを行うなどして今年も評価を高めている。

 このNJCで勝ち進むことで国内マットでもKENTA旋風を起こしてほしい。

鷹木慎吾VSオカダカズチカ

 まるで優勝決定戦のようなカードが一回戦で組まれた一戦。

 どちらが勝っても戦後の勢力図や新日本の方向性を変えてしまう一線でもあったと思う。

 個人的には試合中の拍手の量からして鷹木選手を後押しする雰囲気があったのが意外だった

 lineで投票が行われたNJC優勝者予想でオカダ選手はぶっちぎりで一位だった。にもかかわらず現地のファンは鷹木選手へ拍手を送った。

 挑戦者のポジションでありながら急速に力をつけている鷹木選手が支持を集めたという事だろうか。

 オカダ選手は前日の3.5で行われた前哨戦で腰にテーピングをしていた、頑丈さが取りざたされるオカダ選手が体を痛めている。

 ファンの目にも腰をかばっていることが一目瞭然である。それを鷹木慎吾選手が放っておくわけがなかった。

 雪崩式のブレーンバスターに代表される腰に大きなダメージを与える技を連発していきIWGPヘビー復活の悲願を達成すべくNJCを戦うオカダ選手を追い詰める。

 多分に攻めている鷹木選手だが勝つには越えなくてはいけない障壁があった。

 オカダ選手のマネークリップである。

 G1クライマックス30ではこの技によって締め落とされて無念の敗北、あれから数か月が経ってなおマネークリップの前に沈むわけにはいかない。

 解説のSHO選手が言うようにあと数秒ロープブレイクが遅れれば落ちていたとされるまでに追い詰められるも最後の最後で逃げ切った鷹木選手。この瞬間、価値への希望が見えてきた。

 さらに鷹木選手が流れを持って行ったのがオカダ選手のショートレンジラリアットをカウンターのMADE IN JAPANで切り返した場面だ。

 正直言ってぶったまげた、あの技はカウンターにも使えるのかと筆者は震撼させられた。鷹木選手には引き出しが無限にあるのではないかと感じた瞬間だった。

 そして激しい攻防の末レインメーカー式パンピングボンバーが炸裂。

 いつもの試合ならば相手選手の技をぶんどってしまうムーブともいえるがこの試合に限ってはオカダ選手のお株を奪うことで団体内でのポジションも奪ってやる!という気概が見られた。

 さらには代名詞のパンピングボンバーが決まりオカダ選手は豪快に吹っ飛ぶ。試合は決したと思ったがオカダ選手は何とかキックアウト。

 鷹木選手はフィニッシュにかかるがオカダ選手は依然諦めることはなく、伝家の宝刀レインメーカーを抜いた。

 しかしまたも鷹木選手が一枚上手だった。レインメーカーを回避すると素早くラストオブザドラゴンへ移行、マットにオカダ選手をたたきつけ3カウントを奪取した。

 

鷹木慎吾、圧倒的!

 鷹木選手がこの試合を支配していたと言っても過言ではない。オカダ選手の繰り出す技すべてを読みきったようなカウンターの嵐に筆者は感服した。

 勝つことすらも難しい相手であるオカダ選手を手のひらで転がすような試合運びはG1で負けた悔しさが垣間見えるのみならず鷹木選手の成長が多分に感じられるものだった。

 筆者的にオカダ選手が創り出す好試合の法則としてうつろな目をしたオカダ選手がカメラに抜かれるというものがある。

 完全無欠の彼が追い詰められているというのがファンにとっても一目瞭然であり感情移入を加速させるものであり、対戦相手の勢いもそれだけあるという良い証明になる。

 この試合ではそのうつろな目をしたオカダ選手の姿がしばしば見られ、一気に期待度が増したのは言うまでもない。

 しかし一つ心配なことがある、腰を痛めているという明確な理由があるとはいえ終盤のオカダ選手に粘りがなかったこと。

 どんな絶望的な場面でも最後の踏ん張りから試合をひっくり返してきたオカダ選手を見てきただけに腰の状態が危惧される。

鷹木式オカダマイクが炸裂、渦巻く鷹木待望論

 鷹木慎吾選手と言えばパンピングボンバーとマイクアピールである。

 この試合後にもキレッキレのマイクアピールを披露。大阪城でオカダ選手が行ったマイクパフォーマンスをオマージュして会場を盛り上げる。

 そして締めにはばっちりとカメラ目線で鷹木慎吾待望論が聞こえる、飯伏にはふざけんなという気持ちがあると発言、注目の優勝候補決戦を制したことからも声や表情から達成感が感じられるいいマイクだった。

 

 オカダ選手の早期敗退でますます先が読めないNJC!この後の試合も楽しみなものばかりで筆者としてはワクワクが止まらない。