プロレスに対する麻痺を感じて枕にこけしをする話
突然ですが皆さんプロレスをみていて感覚が麻痺してないですか?
僕は若干、痛みや恐怖に対するものが麻痺しちゃってるなと自覚することがあるんです。
僕自身この状態って結構まずいんじゃないかと思っていた。
プロレスラーは超人、そう思いながら試合を見ているとどんどんと派手さを求めてしまうというか。
もちろん選手の受け身やド派手な技の一つ一つに対していちいち杞憂していてはプロレスを見ることはできませんが。
なんでこんなことを思ったかというとプロレスをほとんど見たことがない友人がケニーオメガ選手のVトリガーを見て「もう見てられない」といわんばかりに目をそらしたことに気付いたから。
その彼の表情を見るまで僕は心の中で
「あと何発膝入れるだろうか」
ぐらいのことを考えていました。
プロレスを俯瞰しているというか、なんというかうがった見方をしている自分に気付いたのです。
彼らの命がけの試合を見ながら何というリスペクトに欠けた鑑賞態度...!
改めなくちゃいけない...(個人の感想です)と思い立った僕はある行動に出ます。
そう、タイトルにもあるように枕に向かってヘッドバッドを敢行して少しでもプロレスラーのやっていることの凄さ・恐怖を追体験してみようと思ったのです。
自分がボディコンタクトの激しいスポーツを幼いころからやっていて首・および体が頑丈なことを含め完全に自己責任でやっていることです。
あくまでバカやってるプロレスファンがいるんだよという記事ですので絶対に真似しないでください!
イメージ的には本間選手の「小こけし」の要領で枕へ落っこちていく。
選んだ理由は「簡単そうだから」「身体能力関係ないから」などといったもの。
結論から言います、怖い
怖い、超怖いんですよ
布団やまくらを何重にもひいてモッコモコの場所を用意して突っ込んでいるのに腕がすぐ受け身をとろうとするんです。
おまけに腰も引けるしすごくダサい。
はたから見たらどんな風に倒れてるんだろうと思いスマホのビデオ機能をオン。
「うわぁ...」
僕がヤングライオンなら史上最低の素材と呼ばれるであろうへっぴり腰&すぐ受け身を取るために腕をのばす姿がフォルダに保存されていました。
参考にするために本間選手の「こけし」をその後見たのですがほんとに景色が一変して見えるんですよ。
いままで少しコミカルな技くらいに思っていた「こけし」がすごく輝いて見えたんです。
他の選手・他の試合・他の技、何を見ても枕ダイブ以前と以後でプロレスの見方が変わり新鮮な気分で試合を見ることが出来ました。
まだプロレスを見始めたころの一挙手一投足に注目してハラハラしていた自分に戻れたのです。
そして僕にとってはそういう一見「ウブ」なくらいの観戦態度のほうが格段に楽しいことも発見できました。
昭和のプロレスファンと現代っ子のプロレスファン
考察...という名のこじつけなのですが昭和のプロレスファンの方って幼いころにプロレスごっこをしていた経験のある方がすごく多い。
それ以外にも暴力の怖さを身をもって知っている(時代的に)方が多いのではないでしょうか。
だからプロレスに対しての熱量が物凄いのではないかと思います。
殴られること、技をかけられること。
いろんな痛みや恐怖を知っているからこそ「熱狂」してプロレスを見ていたんじゃないかと思うのです。
なにも僕をはじめとした現代プロレスファンがプロレスごっこをしたり暴力をふるっていけばいいという事ではなく、リアルな痛みや恐怖について一度立ち止まって考える時間が必要なのではないだろうかと考えました。
プロレスラーに対するリスペクトの精神を忘れないためにも。
冷静に考えてください、毎試合のように頭から落ちて、体中にテーピングが巻かれ、関節をひねられ、老後はまともに歩けなくなってしまう選手も少なくない。
僕らはレスラーたちの命を削った戦いを見せていただいている。
冒頭の自分のように痛みや恐怖と戦うレスラーたちの姿勢を「当たり前」かのようにぼうっと眺めているとしたら、ちょっとだけ立ち止まってほしい。
ただ、人それぞれのエンターテイメントの楽しみ方のスタイルがありますしそのどれもが尊重されるべきだと思います。
プロレスラーをリスペクトする気持ちが大事であることに、枕へ頭から突っ込むという変な行為をしたことで気付けた。
そんな奴もいるんだなぁと受け取ってくだされば僕としては幸いです。