ヒーローはいたよ
僕は明日が当たり前に来ると思って生きている。
当たり前の日常など簡単に壊れてしまう事をまた忘れていた。
日々の一瞬がかけがえなく大切なものであることを再確認させられた出来事。
昨日ゼビオアリーナ仙台で行われた新日本プロレスの興行をワールドで視聴していた時、突然の大きな揺れ。
東北地方、3月、先日の大きな余震。
いやでも十年前を思い出す光景を見て、試合を見る楽しい気分がどんどんと暗い方へシフトしていくのをはっきりと感じた。
選手や会場のお客さんに怪我はないだろうか、大会は中断されるだろうか、地震の規模はどのくらいだろうか、ネガティブな考えが頭を駆け巡る。
でも僕の愛するプロレスラーたちはやっぱり超人的でヒーローだった。
おそらく最初にアクションを起こしたのが高橋裕二郎選手。
大きな揺れの中
「大丈夫、大丈夫、大丈夫だよ!」
という音声が拾われた、ジェスチャーや声質からほぼ高橋裕二郎選手の発言とみて間違いないだろう。
続いて飯伏選手が観客席の方に向かって落ち着いてくださいといったポーズをとる。
お客さんがパニックにならないように試合に関わる選手全員が、頭をフル回転させ始めた。
大きな流れを作るのはやはりエースだった。
棚橋選手が自慢の筋肉をお客さんに披露、異常事態のなかこういった判断でお客さんの気持ちを切り替えようとする機転の利くところこそ彼が新日本の象徴である理由だ。
リングへ上がってエアギターを披露したあとはオカダ選手、飯伏選手と三人で並びお客さんに写真を撮ってもらう。
この三人がパートナーとしてリングに上がることはそうそうない、この第四試合を楽しみに会場へ足を運んだファンも多いはず。
そういったお客さんの心理を誰よりも分かっている棚橋選手が選んだのは「俺たちスターが会場の人たちに元気を与える」という方法論。
華のある三人が並んで写真を撮ってもらっている光景は僕が幼いころ憧れたヒーロー達にそっくりだった。
ヒーローが現実に居たのだ、ウルトラマンも仮面ライダーも戦隊ヒーローもフィクションなんだと年を取るたびに思っていった。
ピンチの時にさっそうと現れて誰かを救うなんて、現実にはあり得ない夢物語だとずっと思ってきた。
でも間違いなくあの瞬間の三人はヒーローだった。
画面越しにもお客さんの気持ちが少しやわらいでいくのを感じ取れて見ている僕も安心していく。
そしてジェイ選手は誰よりもプロだった。
悪の幹部としてどうすれば次の一手が有効になるかを考えた結果、ヘビー・インターコンチ・ネバーの三冠を掲げてリングへ帰ってきた、試合を開始するきっかけを相手に提供し、お客さんには普段見られない光景を見せる彼の姿はまさにプロフェッショナル。
僕が普段見ている新日本プロレスという団体はこんなに誇れる人たちが作ってくれている。
そんなことを感じながらこの記事を書いています。
そして冒頭でも少し書きましたが高橋裕二郎選手について。
大きい地震があったなか誰よりも早く周囲の人に安心できるような振る舞いを行ったあなたの姿を僕は一生忘れないと思います。
自分の役割を投げうってでも周りの人を気遣える高橋選手はまぎれもないヒーローだった。
もっともっと選手にリスペクトを払いながら試合やストーリーを追っていくべきだと再確認した一日でした。
今日のNJC決勝、何事もなく熱い戦いが繰り広げられることを願ってこの記事の締めとさせていただきます。