オスプレイの春
ウィルオスプレイ選手の優勝で幕を閉じたニュージャパンカップ2021、彼の優勝について疑問がある人はほとんどいないんじゃないか。
そう思わせるだけの強さを見せつけたオスプレイ選手。
彼は今、大きな勝負に出た。
試合の仕方にしても精神的な部分にしても。
たたんでいた翼
ニュージャパンカップが佳境に向かっていくにつれてオスプレイ選手がハイフライヤーとして試合に臨んでいた頃のようなファイトスタイルに回帰していったように思います。
ヘビー級転向後は随所に跳躍力を感じる動きこそ見せるものの「空の王様」と呼ばれた頃の別次元からやってきたとしか形容できない動きはそぎ落とされていった印象。
大きくなった肉体へ過負荷をかけないために封印したのだと一人合点していたのですが僕の読みは浅かったみたいです。
オスプレイ選手は飛ぶことを「代名詞」から「極上のスパイス」に変えたのだと思います。
一度習得した技術はなかなか体から抜けていきません、オスプレイ選手にとって空中殺法は一生忘れることのないスキルでしょう。
であれば地上戦の経験値を上げてしまうのが最強のレスラーを目指すのには手っ取り早いと判断したのではないでしょうか。
現在のオスプレイ選手は地上戦で多くの相手を圧倒できる選手でありながら空も飛べる第二形態をもったレスラーと化した。
真っ向からやりあって勝てる算段のない完全体になったオスプレイ選手。
この大会で「ベルト挑戦格の選手」から「ベルトにふさわしい選手」へと覚醒した印象を受けます。
さようならビー
最近のオスプレイ選手とビープレストリー選手には細かい不和が見て取られた。
試合前にキスをすることもなくなりちょっとずつ距離が出来ているなと僕は受けとっていた。
鷹木信悟選手との決勝でも「協力」というよりは「利用」するような動きが散見された。
何かしらの動きを見せるのだろうと思っていたのですが、まさかオスカッターを食らわせていくとは。
新しい何かを得るために古くからの大事な何かを遠ざけてしまう。
迷いを断つための行動だと思いますがそれは強さか、はたまた独りよがりか。
SNSなどでは飯伏選手サイドにビー選手をスパイとして送り出すためのブラフではないかといった憶測もあります。
ただ退場するときのオスプレイ選手、表情に覚悟が見て取れました。
もう後戻りできないといった雰囲気からビー選手はユナイテッドエンパイアから追放で間違いないでしょう。
見る者の目を釘付けに
オスカッターをビー選手に仕掛けた後の会場の空気は異常なものでした。
EVIL選手に代表されるヒール殺法を行って勝利した後に訪れるしぃんとした空気とはまた異なる空気。
僕も観戦していて頭が?で覆いつくされたのは事実。
一方でテーマ曲が流れる中、トロフィーを抱いて会場を後にするオスプレイ選手の
一挙手一投足から目を離せない強烈な魅力を感じたのもまた事実です。
不確かなことは。
ビー選手を切り離した行動が正しいか否か。
一方で確かなこと。
名実ともにオスプレイ選手がトップクラスの選手であること。
もうユナイテッドエンパイアからは目が離せないこと。
NJC2021、MVPは間違いなくウィルオスプレイ選手だということ。
ヒーローはいたよ
僕は明日が当たり前に来ると思って生きている。
当たり前の日常など簡単に壊れてしまう事をまた忘れていた。
日々の一瞬がかけがえなく大切なものであることを再確認させられた出来事。
昨日ゼビオアリーナ仙台で行われた新日本プロレスの興行をワールドで視聴していた時、突然の大きな揺れ。
東北地方、3月、先日の大きな余震。
いやでも十年前を思い出す光景を見て、試合を見る楽しい気分がどんどんと暗い方へシフトしていくのをはっきりと感じた。
選手や会場のお客さんに怪我はないだろうか、大会は中断されるだろうか、地震の規模はどのくらいだろうか、ネガティブな考えが頭を駆け巡る。
でも僕の愛するプロレスラーたちはやっぱり超人的でヒーローだった。
おそらく最初にアクションを起こしたのが高橋裕二郎選手。
大きな揺れの中
「大丈夫、大丈夫、大丈夫だよ!」
という音声が拾われた、ジェスチャーや声質からほぼ高橋裕二郎選手の発言とみて間違いないだろう。
続いて飯伏選手が観客席の方に向かって落ち着いてくださいといったポーズをとる。
お客さんがパニックにならないように試合に関わる選手全員が、頭をフル回転させ始めた。
大きな流れを作るのはやはりエースだった。
棚橋選手が自慢の筋肉をお客さんに披露、異常事態のなかこういった判断でお客さんの気持ちを切り替えようとする機転の利くところこそ彼が新日本の象徴である理由だ。
リングへ上がってエアギターを披露したあとはオカダ選手、飯伏選手と三人で並びお客さんに写真を撮ってもらう。
この三人がパートナーとしてリングに上がることはそうそうない、この第四試合を楽しみに会場へ足を運んだファンも多いはず。
そういったお客さんの心理を誰よりも分かっている棚橋選手が選んだのは「俺たちスターが会場の人たちに元気を与える」という方法論。
華のある三人が並んで写真を撮ってもらっている光景は僕が幼いころ憧れたヒーロー達にそっくりだった。
ヒーローが現実に居たのだ、ウルトラマンも仮面ライダーも戦隊ヒーローもフィクションなんだと年を取るたびに思っていった。
ピンチの時にさっそうと現れて誰かを救うなんて、現実にはあり得ない夢物語だとずっと思ってきた。
でも間違いなくあの瞬間の三人はヒーローだった。
画面越しにもお客さんの気持ちが少しやわらいでいくのを感じ取れて見ている僕も安心していく。
そしてジェイ選手は誰よりもプロだった。
悪の幹部としてどうすれば次の一手が有効になるかを考えた結果、ヘビー・インターコンチ・ネバーの三冠を掲げてリングへ帰ってきた、試合を開始するきっかけを相手に提供し、お客さんには普段見られない光景を見せる彼の姿はまさにプロフェッショナル。
僕が普段見ている新日本プロレスという団体はこんなに誇れる人たちが作ってくれている。
そんなことを感じながらこの記事を書いています。
そして冒頭でも少し書きましたが高橋裕二郎選手について。
大きい地震があったなか誰よりも早く周囲の人に安心できるような振る舞いを行ったあなたの姿を僕は一生忘れないと思います。
自分の役割を投げうってでも周りの人を気遣える高橋選手はまぎれもないヒーローだった。
もっともっと選手にリスペクトを払いながら試合やストーリーを追っていくべきだと再確認した一日でした。
今日のNJC決勝、何事もなく熱い戦いが繰り広げられることを願ってこの記事の締めとさせていただきます。
ヘナーレはもっと自由になっていい
僕は今ヘナーレ選手にめちゃくちゃ感情移入している。
ジュース、どうして私を放っておいたの?#njcup
— Henare | ヘナーレ🪝 (@HenareNZ) 2021年3月18日
昨年のワールドタッグリーグ、大きな結果が出せない状況にあってももがき続けるヘナーレ選手をずっと見ていた。
がむしゃらに頑張って何とか浮上のきっかけを掴みたいという意思が伝わる戦いをしていたから。
そのヘナーレ選手がNJC一回戦で当たったのがジェイホワイト選手。
シングルでの試合は否応なしに注目が集まる。
結果は完敗。
同郷、年も近い、なのにプロレスラーとしての実力に大きな差がある。
I’m sorry. I’m heartbroken. #njcup
— Henare | ヘナーレ🪝 (@HenareNZ) 2021年3月10日
同年代へのジェラシーや自分に対するふがいなさをもって学生時代、部活動に打ち込んだ自分としてはヘナーレ選手に肩入れせずにはいられない。
ただヘナーレ選手のメンタルが心配だ、ジュース選手が見捨てるようにスタスタ帰っていったシーンに対するツイートや、自身の退場時に鉄柵を蹴りつけるなど心の不安定さが垣間見える。
苦しいなら逃げたってかまわない
世間一般では「逃げる」という単語はネガティブワードとして使われる。
僕はそうは思わないので逃げるという単語をあえてここで使わせてもらう。
言い換えれば再出発の一歩目は逃げることなのだから。
Maybe I should return to MMA... #njcup
— Henare | ヘナーレ🪝 (@HenareNZ) 2021年3月18日
総合格闘技に戻ってしまおうかな...そうした方が今より輝けるのではないか。
何かの壁にぶち当たったとき人は環境を変えることがある。
もしかしたらヘナーレ選手の新たな門出が近いのかもしれない。
持論だがスランプの際にとれる対処法は自分の周囲環境を変えるか、楽しむことだけである。
MMAで活躍するビジョンがはっきりあって、本人としてそちらの方が「楽しい」のなら迷うことはない。
下剋上ユニットUEに加入する
そうはいってもファンは勝手なものだ、できることなら新日本プロレスに身を置いてもらってその成長を見ていたい思いが強い。
もし新日本プロレスの世界で生きていくなら自分に合った気風のユニットへ移籍してしまうのがスランプ脱出への近道だと思われる。
僕が最も希望するのがヘナーレ→ユナイテッドエンパイア移籍ルートだ。
メンバー全員が確かな実力を持ちながら不当な評価を受けていたユニット「ユナイテッドエンパイア」。
現状をぶち壊したいという考えはオスプレイ選手・コブ選手・オーカーン選手は体制に対するもの、ヘナーレ選手は自身へのものなので矢印の方向は異なるが出発点は同じ向上心だ。
少なくとも今の本隊に所属しているよりはベンチャー気質のあるユナイテッドエンパイアに所属するほうが良い環境に身を置けると思う。
なによりこれからユニットとして成熟していくのを早い段階から体験することは代えがたい大きな財産になる。
どんな爆発物であっても導火線を引っこ抜いて火気に当てなければ爆発しない、まずは環境を変えてみてほしい。
ストロングで修業
毎週配信されている「NJPW STRONG」。
ここに注目のレスラーがいる。
「クリスディッキンソン」
チームフィルシーのメンバーとして目下大暴れ中の彼のファイトスタイルはハードヒットな打撃がウリで多彩な関節技も使いこなす。
総合格闘技の経験があるヘナーレ選手にはぜひとも吸収してほしい部分を多く持ったレスラーだ。
彼の対角線に立つことで大きなヒントも得られるだろう、思い切ってチームフィルシーに加入してしまうのもありだ。
ヘナーレ選手はもっと総合格闘技のエッセンスを試合に盛り込んだ方がより闘志が伝わってよいと思うための提案である。
さらにはストロングの試合に出ると柴田勝頼さんの厳しくも的確なコメントがもらえる可能性もある。
以上のことからストロングに戦場を移すこともメリットが多いように思える。
闘将ヘナーレ
試合の前にヘナーレ選手がハカを披露することがある。
僕はあれを見ると心が揺さぶられてしまう。
自分の母国語も通じない場所で堂々と伝統の踊りを披露する彼の姿がたまらなく魅力的なのだ。
「俺はここで戦う」
そんな意思を画面越しに受け取ってしまうほど恐ろしいまでにまっすぐな人なのだと思う。
自分の感情を見ている者にハッキリ伝える力を持っているタイプだと思う。
マイクアピールをするわけでもなければ顔芸が上手いわけでもないのに伝わってくるものがあるのは確かなのだ。
技術というものは磨けば獲得できるもの、まだまだ若いヘナーレ選手は絶対に自身の闘い方の答えを見つけられる。
その時初めて持って生まれた客の感情を揺さぶる力が合わさって素晴らしいレスラーが誕生する。
どんなきっかけでもいい、自分の一番大事な誇りの部分を見失わず自由に羽ばたくヘナーレ選手を僕は見てみたい。
この記事を読んでくれた方が少しでも楽しければ幸いです
それではまた!
おめでとうフィンレー!
大金星!
NJC準々決勝、デビッドフィンレー選手がジェイホワイト選手を撃破!
オカダ選手やタイチ選手、そして内藤選手が負けたときも「マジか!」という反応が多かったが今回はその比ではないほどの衝撃を与えたのではないでしょうか。
フィンレー選手を応援する声こそ聴けど爪痕を残してくれれば十分と半ばあきらめたムードだったのは事実。
かくいう僕もジェイ選手の突破を確実視していました、むしろ良くベスト8まで進んでくれたなぁというカンジでフィンレー選手を見ていた。
ただ試合中セコンドについていたジュースロビンソン選手によって外道選手が排除されたところから風向きが変わっていきます。
間違いなくジェイ選手は稀代の知性派ヒールレスラー、自分のペースを崩すことがめったになく常に相手より有利な立ち回りを心掛けているタイプ。
しかし今日は相棒の外道選手がセコンドにはいないのだ、それがジェイ選手のリズムを狂わせた。
しだいにバレットクラブリーダーとしての顔を見せなくなっていったジェイ選手はかつてのヤングライオン時代のような粗削りの姿を見せていく。
普段は冷酷なジェイ選手がどこか楽しそうな表情をしながら荒々しく戦っているように見えてしょうがなかった。
戦績、実績どちらを見ても圧倒的な差がジェイ選手とフィンレー選手との間にはある。
それでも異国の地で「青い目のヤングライオン」と称され切磋琢磨した日々を思い出し、その同胞を本当の意味で敵と認めたからこその表情だったように思う。
よくエルボーに気持ちを乗せるという表現が使われるがこの試合のエルボー合戦はまさにそういったものだった。
気迫や負けたくないという気持ちがビリビリ伝わってくるような激しい打ち合い、人間の根っこの部分のぶつかり合いを制したのはフィンレー選手。
しかしそこはさすがのジェイホワイト選手、あっさりやられることはなく立ち上がってくる。
仕留めたいフィンレー選手はチャンスとばかりに攻めるもどこか誘うように構えているジェイ選手。
必殺の体制に何度も入られるも驚異的な集中力でブレードランナーを回避してプリマノクタを打ち込むフィンレー選手。
高度な読み合いでの勝負もまたフィンレー選手が相手を上回った瞬間だった。
脱力したジェイ選手の首をつかんだまま自身の決め技アシッドレインへ即座に移行。
この一撃が決定打となってこの大会屈指の番狂わせが達成された。
決着がついた時僕は絶叫してしまいました、フィンレー選手の最近のコンディションや表情、試合の良さも知っていたうえでこの結果に驚いた。
それだけ彼の「ライバル」ジェイホワイト選手は絶対的な男だという認識だった。
何の介入もなく卑怯なこともせず純粋にジェイ選手を実力で上回ったフィンレー選手の雄姿が頭から離れないです。
タッグ屋の印象からシングルプレイヤーとして覚醒を始めたフィンレー選手、今年の注目選手に一気に名乗りを上げました。
春は別れの季節でもあると同時に出会いの季節でもあります。
まさに今日のフィンレー選手は過去の苦い思い出と別れ、新たな自分に出会ったと言えるでしょう、彼の見せるこれからのストーリーに期待が膨らんでいく。
今日の記事はこんなところで、この記事を見てくださってありがとうございます。
読んでくれたあなたに少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それではまた!
プロレスを現地観戦するときに着る服に迷う話
箱推し、特定の一人ではなくグループ全体を応援するタイプのファンのこと。
僕の新日本プロレスへの接し方はまさにそういったものだ。
ベビーもヒールもヤングライオンも日本人も外国人もすべてひっくるめて好きなのだ。
家では自由に応援できる、ヒールレスラーを応援したって、試合の展開次第で肩入れする選手を替えたって周りにはばれないから。
現地だと周りの人にばれてしまう。
棚橋選手のグッズに身をまといながらヒールの選手に拍手を送ろうものなら周りの目が気になってしまう。
だったらライオンマークのグッズを着ていけば解決するのだが個人的にでかでかとライオンがプリントされたTシャツを着た姿を公衆の面前にさらす勇気がない。
あとはキャップも後ろの人に迷惑でないか気になっておちおちかぶれない。
何より気まずいのはメイン試合後のマイクアピールの時だ、自分が着てきたグッズの選手が負けた日には勝った方の選手がどんな熱いマイクをしてても拍手がしづらい(笑)。
好きの程度が異なっているだけでどの選手のことも好意的に見ている僕としては勝った選手に都合の悪いグッズを着ていても拍手するなりエールを送りたいもどかしさがある。
普通の服着てけばいいじゃないと言われそうだがせっかくのイベントだ、それに準じたグッズを身につけなければ味気ないだろう。
まぁこの問題は僕自身が気にしなければ消えてなくなるような小さなものなんですけどね。
闘魂ショップのCMでもあんなに新日本グッズを身につけている女性が道に突っ立っている棚橋選手をガン無視してしまうシーンがあるじゃないですか。
実際はあんな感じで他人のことは目に入らない人がほとんどなのは頭ではわかっているけどなんだか心がストッパーをかけてくる。
こういう話を水道橋の父(後藤選手)にでもしたらほんわかした回答で寄り添ってくれるのだろうか?
なんてことを考えながらまた闘魂ショップでTシャツを買ってしまうのであった。
EVILの「しゃべりすぎなんだよ」ジェイ宛て説
突然だけど僕はフォークボールが変化球の中で一番好きだ。
まっすぐか?と思うような速さで飛んできて急にストンと落ちる。
予想から大きく外れたところへ狙いを定めて空を切るバット。
まんまとハマった相手を見て、してやったりと思えるからフォークボールが好きだ。
今日のイービル選手にはさながらフォークボールのようにポイントをずらして相手を翻弄してやるという心意気が見られた。
バッター矢野選手
この試合の結末が予想できた人はごく少数だろう。
リング下へ転がされたEVIL選手、カウントが二桁になっても一向に姿を現さない。
このまま矢野選手の勝利かと思われた矢先、後楽園の照明がおとされ試合に関わる全員が大混乱。
試合の行方を知っていたのはEVIL選手とセコンドにつくディック東郷選手の二人のみ。
再び照明がついた時、矢野選手の背後にはキングオブダークネスが待ち構えていた。
突如現れたEVIL選手の必殺技をうけた矢野選手はあっけなく敗北した。
どれだけ相手の試合パターンを学習しようとこれは予想できない、新日本マットであまり見ることのないタイプの奇策がハマった形での試合決着。
戦っている矢野選手はもちろんのこと僕もこの方法で来るとは予測できなかった。
品がないことを言うと金的合戦にでもなるか、KOPWをかけてチェーズ選手と試合をした日に見せた「怖い矢野」が出るものと思っていたところ。
本来は試合に関係ないものを有効に使う矢野選手のお株を奪うような勝ち方をみてヒールであるEVIL選手に僕は思わず拍手を送ってしまった。
しゃべりすぎたのはもしかしてジェイ選手?
鷹木選手がメイン勝利後「ちょっと」と題してマイクアピールを敢行すると乱入してきたEVIL選手。
ヒートアップする鷹木選手の死角からディック東郷選手が現れローブロー。
マジックキラーを浴びせられぐったりとした鷹木選手に向かって
「しゃべりすぎなんだよコノヤロー」
とEVIL選手は吐き捨てた。
額面どうり受け取れば鷹木選手のマイクや試合中の発声に対しての発言だ。
僕も最初はまっすぐ受け取っていたが、そういえばもう一人しゃべりすぎている状態の人がいたなと思いだす。
ジェイホワイト選手だ。
試合後のマイクやバックステージコメント、彼の使用言語が英語で聞き取れないため体感時間が長いというのもある。
しかし客観的に見ても彼の発する言葉の量は「しゃべりすぎ」と言っても過言ではないのではないか。
それでいてBC加入直後のEVIL選手とジェイ選手の間にあった溝が最近こそ見られなくなったものの元々はギクシャクしていたはず。
新ベルトに対する意見もIWGPヘビーを取り戻したいジェイ選手とIWGPの名前を消し去るつもりのEVIL選手。
この二人は同じユニットに所属していながら異なる思想を持って戦っている。
気に食わない相手は鷹木だけだと思うなとジェイ選手に再度忠告したという見方も出来る発言なのではないだろうか。
二人が当たるとすれば決勝戦。
お互いのユニット内での立場、プロレスに対する考えをぶつけ合う一戦になることは間違いない。
勢いから考えて決勝カードはオスプレイ選手VS鷹木信悟選手になるのではないかというのが「まっすぐ」な僕の意見。
だけど予想を裏切る「変化球」が好きな自分としてはEVIL選手VSジェイホワイト選手の決勝も楽しみになる。
そんな3.16後楽園の感想でした。
読んでくれたあなたに少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それではまた!
間違いない、ユナイテッドエンパイアはここから台頭する
負けられないふたりの大熱戦
3.14兵庫で行われたNJC二回戦、注目の英国人対決が行われた。
鈴木軍のボスである鈴木みのる選手、相棒のタイチ選手が先にNJCを去ったことで鈴木軍最後の砦となったザックセイバージュニア選手。
その対角線に立つのは同じくユニットメンバーが先に脱落したウィル・オスプレイ選手。
仲間の思いを背負った実力者同士の闘い、好試合が展開されること間違いなし!と試合前からワクワクが止まらなかったのですがその期待にたがわぬ熱戦でした。
試合開始冒頭から高速でお互いの技を繰り出す両者、手の内を知っている者同士だからこそ行える攻防にさっそく目が離せない。
そこからも技の応酬、かつて空の王様と呼ばれたオスプレイ選手がエンパイア結成後は鳴りを潜めていた立体殺法をくり出せば、英国の若き匠であるザック選手は得意の関節技で迎撃、両者得意のスタイルを全面に押し出していく。
とりわけ注目すべきはザック選手の切り返しパターンの多彩さだ。
彼の試合を見ていて驚異的なのは関節技の入り方がオリジナリティに溢れていて派手であること。
スロー再生しなくては何が起こったか分からないほどの手際の良さでオスプレイ選手を自身の得意技にはめ込んでいく様に試合中何度も目をむいた。
さらにオスプレイ選手の負傷箇所である右肩をひねり上げていくザック選手、基本の一点集中攻撃が誰よりも徹底しているのも彼の素晴らしい部分。
そしてこの試合でザック選手が見せたサッカーボールキックを炸裂させた後に雄たけびをあげるシーンが頭から離れない、彼は元来の持ち味である関節技のテクニックに加えて観客の熱を乗せる技術まで取得し始めている。
しかしユニットリーダーであるオスプレイ選手もまた負けるわけにはいかないのだ、ザックドライバーで鼻血が噴出しても、雪崩式腕十字から腕をへし折られるような関節技を食らっても倒れない。
オスプレイ選手は日に日にたくましくなっている。それはリーダーになる決断をしたことが大きいように思う、誰かの下にいるときには出ない人間の底意地のようなものが最近あふれ出しているのだ。
雪崩式腕十字を食らいクラーキーキャットを極められるオスプレイ選手の姿を見ていてもうギブアップしてくれと思わずにはいられなかった。
エルボーを打つだけで痛みが走る肩をあんな方向に曲げられたら...想像を絶する痛みだろう。
さらに顔は血まみれ、プロレスは危険でタフさが求められるものとはいえあそこまで追い詰められたオスプレイ選手の姿を見ればまた別のチャンスを求めてくれと思ってしまう。
ユニット結成からシングルマッチで結果を残せていない。
そんな悔しい思いだけがオスプレイ選手にロープブレイクする力を出させたのだと思う。
その後は怒涛の展開。
スーパーキックを食らったザック選手が倒れこみながらもアンクルホールドを極めようとする。
先に立ち上がったオスプレイ選手のスーパーオスカッターでトドメかと思えばスリーパーで迎え撃つザック選手。
そこからザックドライバーを繰り出すがオスプレイ選手が切り返してザック選手の後頭部に重たいエルボーを打ち込む。
そしてストームブレイカーがやっと決まり試合に終止符が打たれた。
試合中に解説のミラノさんが
「なんだお互いを動かしているのは!!」
と叫んだが僕もまったく同じ思いである。
説明できない人間の原動力のようなものと両選手の技術が詰まった試合を見せてもらった。
ザック
— タイチ (@taichi0319) 2021年3月14日
やっぱ
すげぇよ
俺ら
2人とも
トーナメントは終わっちまったかもしれねぇけど
2人とも
得た物は大きかった
すぐに
また
俺らは
動き出してやるよ…
今日は本当に
すげぇモンを見た
放送席から
これが余に「同盟を結びたい」と思わせた男の、力じゃ!!!! #njcup
— グレート-O-カーン👑 (@Great_O_Khan) 2021年3月14日
どうだ!帝国の盟主はカッケェだろ! pic.twitter.com/pmtiQb6Qtn
そして二人には最高の仲間がいる。
ユナイテッドエンパイア躍進の時
イロモノだと思われていたユナイテッドエンパイアへの手のひら返しが起こり始めている。
実力者ぞろいのユニットだという事を最近の活躍で思い知らされた人は僕だけではないはずだ。
規格外の怪力で見る者の度肝を抜くジェフコブ選手、コミカルな試合もこなせば熱い試合もできて発信能力にも優れたグレートオーカーン選手。
そしてレッスルキングダムでのオカダ選手との試合や小島聡選手とのノーDQマッチ、今回のザック選手との試合などファンの心に刻まれる名勝負をしてきたオスプレイ選手。
優勝候補に挙げられたこのNJCで二回戦から優勝するにふさわしい試合を見せてくれた彼は自身のユニットを引っ張り上げることが出来るのかこれから要チェックである。
ジ・エンパイア新メンバーは誰か
あとはジュニア戦士が加入すれば活躍の幅がこれまで以上に広がるので誰か加入してくれることを心待ちにしている。
よく噂されるのはYOH選手だ。
大けがを乗り越えた彼が新たな活躍の場としてユナイテッドエンパイアを選ぶというのは自由な気風からも大いにあり得るのではないだろうか。
他にもリオラッシュ選手やヘビー級だがヘナーレ選手の加入もあるのではとの声もよく聞く。
個人的には現在宙ぶらりんになっているマーティースカル選手がエンパイアに入ってくれると最高だ。
テクニック特化のレスラーはいないので色が被らないしオスプレイ選手と同じイギリス出身というつながりもある。
ロスインゴ大躍進の要因はBUSHI選手というテクニカルな参謀が加わったことが大きいようにも思える。
どんなレスラーが参加してどのような化学反応が起こるか今から楽しみである。