鷹木信悟選手がNEVERで革命を起こす
圧倒的な強さと懸念
3.13名古屋でNJCの二回戦が行われた、勝利した方が左ブロックの決勝進出者になるとみられた注目の一戦を鷹木選手が制した。
試合前から匂わせていた鷹木式牛殺しこそ発動しなかったものの鷹木式GTR改が炸裂、そこにパンピングボンバーをお見舞いし最後はラストオブザドラゴンを決めてスリーカウントを奪った。
一回戦のオカダ選手との試合もそうだったが相手を圧倒して勝利している印象がありその勢いの良さから鷹木選手の優勝を期待するファンはこれからも増えていきそうだ。
個人的にも左ブロックから決勝に行くのは鷹木選手だと考えているがなにせ相手が悪い。準々決勝はKENTA選手との試合で準決勝にはEVIL選手が上がってくるだろう。
ブリーフケースという特殊な王座(仮)を六回防衛したKENTA選手も手ごわいしEVIL選手は昨年度のNJC優勝者でベルトも獲得した。
初戦からクライマックスだったにもかかわらずその先も「安牌」と言える相手が一人もいないというのは不運としか言いようがない。
3.13のバックステージコメントでも
去年1回戦負けだったが……『G1(CLIMAX)』以上になんだ、しんどいな(苦笑)。1回戦、2回戦、ダメージが半端ねえ
といったコメントを本人がしているようにダメージの蓄積が他の選手とは段違いだろう。
疲労がたたってどこかでつまずいてしまうのではないかというのが筆者の現時点での予想。
もし鷹木選手が優勝を逃してIWGP世界ヘビー級ベルトへ挑戦できなかった場合はNEVERへ再挑戦してほしいという願望がある。
理由は明白
鷹木選手は追いかける立場のほうが輝くと考えるからである。
最高位のベルトを追う現在の形はもちろん理想的、しかしIWGP世界ヘビー級チャンピオンになってしまうといろいろな制限がある。
チャンピオンにふさわしい選手か、どっしりと構えているかと周りからの監視の目が増えてしまう。
トップオブトップに立つというのは名誉でありながらも自由な立ち回りを奪ってしまう。
どんな選手にも噛みついていけるマインドを持つ鷹木信悟選手から自由を取り上げてしまうのは非常にもったいないと感じてしまう。
NEVERチャンピオンになったら追いかける立場ではないという見方もできるがNEVERは現状2番手のベルトだ、言い換えると大いに可能性を秘めている。
では可能性とは具体的に何か、現在の団体内ナンバーワンベルトであるIWGP世界ヘビー級越えである。
鷹木選手には
- 確固たる熱い世界観
- 相手の技をコピーできる高い技術と柔軟さ
- 頭一つ抜けたマイクパフォーマンス
が備わっている。
一人で世界観を構築しながらどんな相手でも受け入れ最終的には勝利するという点はどこかインターコンチを成長させた際の中邑真輔選手に近いものを感じる。
そういったことが邪道なトップへの道のりに期待する一因かもしれない。
IWGP世界ヘビーのライバルになってほしい
もう一つ鷹木選手にNEVERベルトを輝かせてほしい理由がある。
IWGP世界ヘビー級ベルトがこれからの新日本という団体を象徴するベルトに成長するためにも切磋琢磨してほしいのだ。
周囲からの追い上げがあってこそ成長は速まるもの、生まれたての新王座に刺激を与えるには身内にいるライバルの存在は必須だ。
現状のNEVERではライバルの役目はできないだろう、まだ二番手という印象が強すぎるし、コロナ禍とはいえ海外の選手や他団体のレスラーがNEVERベルトを欲する動きは今のところない。
もっと鷹木選手の色を付け、激戦を繰り広げればNEVERが対抗馬になる可能性は大いにあるだろう。
純粋な闘いを見せるNEVERベルトに対して最高王座IWGP世界ヘビーは新たな答えを出していかなくてはならない。
どちらが上に行こうと面白い構図になるため、NEVERをないがしろにしてほしくないというのが僕の考えだ。
生でプロレスを観戦する魅力
僕はもっぱら新日本プロレスワールドで試合を見るタイプのファンだった。
理由は簡単で実況解説が聞けるというのと家から出ないで良いからというものがある。
手軽にプロレスに触れられる家での観戦がベストだと考えていたのだが、地元での興行があるというのと自分の中でのプロレス熱が抑えられなくなったため初めてプロレスを生で観戦した時の感想を書いていく。
体がすごい
画面越しに見てもプロレスラーの体はスゴい。
飯伏選手や石森選手のようなキレッキレの美しい体。
石井選手やEVIL選手のような厚みがある体。
オカダ選手やオーカーン選手のような巨大な体と様々だ。
現地で感動したのはその肉体を自身の目で見られたこと。
画面越し以上に迫力があり、その肉体が現実のものとして動いていることを実感できる。
筋肉好きの自分としては彼らの体を見ているだけでもチケット代を払う価値があったと思わされた。
レフェリーって凄い
ワールドで見ていた時は気づかなかったこと。
大人数のタッグマッチで一番大変なのはレフェリーだという事だ。
10人タッグマッチの時は場外リング内で様々なことが起こっている。
場外では鉄柵に相手を振る選手やこっそり反則をする選手、エルボー合戦も起こる。
しかもリング内では試合が行われている、ワールドではどこかの一点に集中した映像が映るので気が付かなかったがレフェリーの仕事量が異常だった。
しかもその一つ一つを的確にさばいていくのだ、正直レフェリー陣に注目して試合を見ていなかったが現地観戦後はレフェリーの動きまで楽しめるようになった。
こまやかな関節技が見づらい
ここまで褒めてきたが少し映像のほうがいいと思う部分。
僕は関節技がすごく好きである、レスリングという感じがするし関節技の入り程芸術的なムーブはないと考えるからだ。
しかし会場ではどうしてもワールドでの映像のような距離では試合を見ることはできない、関節技はどこに圧がかかっているか、かけられた選手がどうやって脱出するかの駆け引きが醍醐味だからその魅力が減じたと感じてしまった。
入場曲がカッコイイ
好きなミュージシャンのライブに行くとそれまで好きでもなかった曲がお気に入りになることはないだろうか?
大音量で音楽を聴くとその迫力が増すだけでなく、これまで聞こえてなかった細部のこだわりが分かるようになるのでそのような現象が起こるのではないかと感じる。
会場に響き渡る大音量の入場曲でテンションがいやおうなしに上がっていくのが自分でもわかった。
特にEVIL選手の入場曲はぜひ会場で聞いてほしい、キングオブダークネスにふさわしい真っ暗な雰囲気が一瞬で会場に伝わる感覚があった。
最後にファンがたくさんいると分かること
僕の周囲にはプロレスが好きな人はいない、唯一父親が昭和から闘魂三銃士の頃までプロレスをじっくり見ていたので時々話をするぐらいである。
ユークス・ブシロード体制に入ってからの新日本プロレスについて詳しい人はほんとにいない。
周りに話せる人がいないならば多くの人に向けて発信するのもありだなと思ってこのブログを始めたくらい誰かとプロレス愛を共有したいという欲がある。
その僕にとって地元に多くのプロレスファンがいることが確認できたことが何よりうれしいことだった。
しかも自分よりずっと熱心なファンがいっぱいいる、もはや感動すらした。
前の席に座っているおそらく学生の男の子が試合中、一瞬たりとも今日の思い出を逃したくないといった様子で何度も写真を撮っていた。
休憩時間中にこちらをパッと振り返って
「写真撮っているの邪魔じゃないですか?」
と控えめな様子で聞いてきてくれた。
「全然大丈夫です、バンバン写真撮ってください!」
と僕は返した。
全く邪魔だなんて思わなかった、熱心にプロレスにのめりこんでいる彼の姿はとてもまぶしかった。
せっかく話しかけてくれたのでお互いの持っているグッズの話をして盛り上がったり好きな選手の話をして過ごしたのが楽しかった。
同時代のプロレスを追っている人と初めて話した感動は大げさかもしれないが一生忘れることはないと思う。
初観戦はそんなこともあって肝心の試合も熱戦続きだったため大満足で帰途についた。
また地元で新日本プロレスの興行があれば見に行きたいと思うような最高の一日だった。
↓
このブログへの初投稿もプロレスにハマったことをテーマにしたものでした。
良ければ読んでくださいね~!
オーカーン様、散る。
爆散、オーカーン様
春のトーナメントからグレートオーカーン選手が姿を消した。
大一番に弱いイメージを内藤選手との一戦で覆してからちょうど一週間のことだった。
矢野選手はコミカルでありながらも技術力が光る試合で厚い支持を得ている。
オーカン選手を応援している私としては矢野ワールドにそって試合を始めた時点でまずいと感じた。
矢野選手の土俵で勝負して勝つというのは非常に難しいからだ。
29回目のG1クライマックス、無敗状態であったモクスリー選手がテーピングによって場外リングアウトになった試合が頭から離れない。
矢野選手にとって相手の勢いや強さはどうだっていいのだ、彼の持つ世界観の中にさえ引っ張り込んでしまえば勝ち筋が見えてくるのだから。
そこにあえて突っ込んでいったオーカーン選手は
- テーピングで自らの手を拘束させる
- コーナーパッドで殴打することを要求
- リング状に寝そべり場外の矢野選手を誘う
- KOPWのトロフィーを破壊すると脅す
- 握手を要求する
等々、自分のペースで試合を進めるべく様々な策を講じたが結局のところ底なし沼に飲まれてしまった。
矢野選手の靴をなめるからという発言に気をよくしたアイアンクローを解除したところへ矢野選手の丸め込み。
怒りながら再度アイアンクローを繰り出したオーカーン選手だったが矢野選手もアイアンクローで応戦。
力で勝ったオーカーン選手が抑え込むもカウントツー。
なおも突っ込んでいったオーカーン選手に対しロープを下げてリングアウトさせた矢野選手が辮髪を鉄柵に結び付ける。
正直なところ筆者はこの瞬間オーカーン選手の勝利を諦めた。今大会の推し選手は二回戦敗退だ...と思った。
それだけ「YTR×鉄柵×拘束」の方程式は黄金パターンなのだ。
着々と進んでいく場外カウント、ここまでかと思ったその瞬間。
オーカーン選手の手にハサミが!
いける。筆者は非常に単純な人間である。自慢の辮髪まで切り落としたのだ、いわば禁断の技を抜いたのと同義である。
オーカーン選手の覚悟に勝利を確信した。
ドミネーターを決めて二回戦突破だ!と思った矢先、筆者は絶句する。
リング上のオーカン選手の手にハサミが!!
それはダメ。凶器を持ち出すのは人としてまずい。だがそれ以上に対矢野選手という状況で頭に血が上るのはもっとまずい。
案の定ハサミ攻撃を回避されたオーカーン選手は急所攻撃を受けスリーカウント。
まだ開花も迎えてないサクラより一足早くグレートオーカーン選手は散っていった。
コミカルもいけるのか
正直二回戦負けしたことに関しては残念だがオーカーン選手のオールラウンダーぶりが発揮された一戦だった。
NEVERのゴツゴツしたファイトスタイルもあればKOPW的な試合もできる。
試合に負けて勝負に勝ったというところだろうか、オーカーン選手の良い部分がどんどん見えてくるのだ。
これからオーカーン選手がどういった身の振り方をしても筆者は楽しみで仕方がない。
NJC1回戦を終えて
波乱の起こるトーナメントと称されることの多いNJCカップ。
優勝者予想で断トツの1位を取ったオカダ選手、ここ数年間は新日本のトップとして君臨してきた内藤選手が一回戦で脱落した。
対戦相手は鷹木慎吾選手とグレートオーカーン選手、格的に言えば下剋上となる勝利だ。
様々なことが動き出した一回戦の振り返りをしながら開催前の予想と照らし合わせていこうと思う。
開催前予想
NJCトーナメント予想!
— バグパイプはひっきりなしに (@jjbagpipe) 2021年3月2日
決勝カードはタイチVSオスプレイ
優勝者はオスプレイと予想#NJPW #NJC #NJCUP pic.twitter.com/AEJLUZGLvF
ついに侵攻を始めたオーカーン
凱旋帰国してからというものキャラクターの特異さ、これまでにない発信スタイルによって良くも悪くも注目を集めていたオーカーン選手。
しかし立ち上げたユニット「UNITED EMPIRE」はシングル戦でどのメンバーも勝てないことから「ゼンパイア」などと蔑称をつけられ不遇の日々を送っていた。
筆者も最初はイロモノが過ぎて感情移入が難しく、様々な格闘技のエッセンスを混ぜ合わせたファイトスタイルがかえって器用貧乏に見えてしまうと感じていた。
しかしキャッスルアタック最終日に行われた棚橋弘至選手とのNEVER戦で考えを改めた。
タフネスや頭の回転の速さ、そして熱のこもった試合をするオーカーン選手を見て近いうちにユナイテッドエンパイアの時代が来るという確信すら持った。
早くもその時代が始まりそうだ、旗揚げ記念日の一戦で内藤選手を破ったのだ。
現在の新日本プロレスで人気、実力、カリスマ全てにおいて抜きんでた内藤選手から勝利したことは本当に大きい。
非情なまでに膝を一点集中で攻め、ドクターストップを誘発した戦いからは相手を何としても倒し、地位をあげてみせるという野心が伝わってきた。
試合前から大きなタイトルマッチやこれまでの疲労の蓄積がある内藤選手が負けてしまうのではないかという予想だったためそこまでの驚きはなかったがオーカーン選手の向上心に胸を打たれた一戦だった。
予想を覆したタイチVS後藤
開幕前のツイートを見ればわかるように筆者はタイチ選手は決勝まで勝ち上がると思っていた。
- 鈴木軍の枠に収まりきらなくなってきたこと
- 近年評価が高いこと
- アイアンフィンガーを取り戻したこと
- タッグベルトを落とし無冠状態であること
こういった理由のほかに旗揚げ記念日、エルデスペラード選手の試合後に見せた意味深な表情を見て筆者はさらに自身の予想は間違っていなかったと一人合点していたが一回戦で聖帝は散った。
後藤選手を侮っていたわけではない、タイチ選手への期待度が異様に高かったのだ。
ライガーさんが言ったように一回戦とは思えない激闘を繰り広げ大会全体の熱を上げる好勝負だった。
試合後の後藤選手が発した
「新しいベルトを獲る」
「最後まで生き抜きます」
といった言葉には胸を打った。
誰かのことをこんなに頼もしいと思ったのは久々だ。言葉の一つ一つに嘘がなく、表情からも気迫があふれていた。
IWGPヘビーに何度挑戦しても跳ね返されてきた荒武者はベルトが変わろうとも、トップを狙い続けていくのだろう。
そのためにも越えなければいけないのはオカダ選手だった。
所属ユニットCHAOSのトップ選手であるオカダ選手に対しては後藤選手がIWGPヘビー級に挑戦した際に跳ね返されたトラウマがある、そのトラウマ払拭のためにも二回戦でオカダ選手を破りたい。だからオカダ選手に発破をかけるようなコメントをバックステージで発したのだ。
鷹木選手がそれを聞いて燃えないはずがなかった。
ドラゴン、オカダ越え
G1で負けたことがよほど心残りだったのかオカダ選手の技ほとんどに対して自身の出せる技を総動員しカウンターを食らわせる鷹木選手。
オカダ選手が前哨戦で見せた腰のコンディションの悪さに着目した腰攻め、マネークリップ攻略など徹底した対策が面白いようにハマっていた。
極めつけはレインメーカーへのカウンターで放ったラストオブザドラゴンだ、相手の最強技に対して自身の最強技をぶつけて勝った、ただ勝利しただけではなく圧倒したと言って差し支えないだろう。
試合後もオカダ選手が2冠戦つまんねぇよなと言い放ったマイクのオマージュで締めた鷹木慎吾選手、待望論が渦巻くのは間違いないだろう。
右側のブロックはこれといった波乱なし
個人的優勝候補であるオスプレイ選手は順当に一回戦を突破した。他にもフィンレー選手、ジェイ選手、永田選手、ザックセイバージュニア選手、SANADA選手が順当に二回戦へコマを進めた。
左がサプライズの塊とすれば右のブロックは順当に勝ち上がっていった印象だ。
優勝候補筆頭のオスプレイ選手を除けば二回戦で当たるフィンレー選手とYOSHI-HASHI選手に注目している。
上昇の機運が高まっているYOSHI-HASHI選手と昨年より明らかに身体的コンディションが整っているフィンレー選手。
大会前から注目していた二人だけにどちらが勝っても三回戦には駒を進めるので推しのシングルマッチを一試合でも多く見ることが出来るのはうれしいことだ。
最後にヤングライオンの三人について
慣習や諸々の問題があるとは言えなんとか卒業させてあげられないのだろうか。海外修行免除であってもいいし様々なユニットでインターンをするのも大きな経験になるだろう。
昨年のBOSJ27で上村選手の見せた活躍であったりゲイブ選手、辻選手が見せたNJC一回戦の試合を見ていてもどう考えたって小間使いにしているようなレベルをとっくに超越している。
最高位のベルトが新しくなり、海外への戦略も種をまき始めた今、若手育成の手法についてもテコ入れが必要になってきているのではないだろうか。
若い選手からの突き上げがあってこそベテランもピークの選手も気合が入るだろう。
つらつらと書きながら本日から行われるNJC2回戦を楽しみに待っている。
NJCを通してYOSHI-HASHIはどこまで行くか
「昨年の新日本プロレスで最も成長した選手は?」
と聞かれればほとんどの人はYOSHI-HASHI選手の名前を挙げるのではないだろうか。
NEVER6人タッグベルトを巻いたことにより自信が増しファイトに説得力が出てきたのが躍進の理由だ。
ただし、存在感こそ増してきたYOSHI-HASHI選手だが主要な大会で結果を出すまでには至っていない。
昨秋行われたG1 climax 30では2勝7敗と芳しくない戦績で大会を後にした。
筆者はYOSHI-HASHI選手がシングルベルトを獲得できるほど良い内容の試合をしていると感じている為、今回のNJCで大会を勝ち進みシングルベルト戴冠のための一歩にしてほしいと願っている。
高橋裕二郎戦
そのためにも絶対に落としてはならないのが3.10に行われるNJC一回戦だ。
対戦相手の高橋裕二郎選手はYOSHI-HASHI選手と同様にG1で結果を出せなかった。
何が何でも勝利を取りに来る相手との一回戦ほど難しいものはない。
独特の間で攻める高橋裕二郎選手を攻略し初戦を突破できればさらに高い壁が待って いる。
チェーズオーエンズorデヴィッド・フィンレー戦の勝者
どちらが勝ちあがってもYOSHI-HASHI選手にとって厄介な相手である。
チェーズ選手は狡猾でありながらKOPWを懸けた矢野選手との一戦でそのクレバーさをいかんなく発揮していた。
あそこまで頭が回る選手を相手にするのは恐ろしいことだろう。
一方で体のキレや瞬発力、といった部分ではフィンレー選手が上回る。
筆者はフィンレー選手の調子の良さはNJC参加選手の中でも屈指だと思っている。昨年のWTLでも好調だったが当時をはるかに凌駕するコンディション。
タッグ戦線のみならずシングル戦線で活躍していきたいという思いが動きから感じられ、ぎらついた雰囲気を纏っている。
そして惜しくも一回戦で散った盟友ジュースロビンソン選手の分の気持ちまで背負って戦うだろう。
両者とも強いが今のYOSHI-HASHI選手はこの二人よりも強いというのが筆者の見解だ、つまり二回戦を突破することが出来ると踏んでいる。
ジェイホワイトor棚橋弘至
ここが正念場である。どっちが抜けてきても鬼門。
ジェイ選手には完全に伸びている状態ながら大技を連発され、ノックアウトされた因縁がある。
さらに外道選手とともにジェイ選手がバレットクラブ入りする際、襲われたオカダ選手を救出しようとするも自爆、頭から大量の出血をして力になれなかったというトラウマもあるだろう。
負の意味での物事が変わる瞬間も味わっていれば昨年の初戴冠で良い意味での変化も知ったYOSHI-HASHI選手ならバレットクラブ総大将にも打ち勝つかもしれない。
ケニー選手を打ち破った時の爆発力をこの試合にも持ってこれたら勝利をつかめるのではないか。
そして棚橋選手の場合。
「俺が勝つまではやめないでください」
この言葉にしびれたファンは多いだろう。
自身の成長を実感したうえで尊敬する先輩への挑戦表明。
YOSHI-HASHI選手が棚橋選手に勝つのは今じゃないだろうか。
そしてもし勝利した暁には自信を大きく成長させたNEVER6人タッグのシングルバージョン、赤いベルトに挑戦する権利を得るだろう。
一瞬のその先を見ていたい
YOSHI-HASHI選手のキャッチフレーズはヘッドハンター。
大物の首を狩ることで自分自身を輝かせていくことが出来るはず。
ただでさえ予想外のことが起こる春の大一番NJC、存分に暴れまわってほしい。
レッスルグランドスラムに対する考察
3.4旗揚げ記念日の休憩時間に突如流れ出した特報。
最初は昨年神宮球場で行った興業を場所を移してスケールアップして行うのかと思っていたが、「TOKYO」の文字が。
今年も神宮球場でやるのか!と思っていた筆者はぶったまげることになる。
ついに東京ドームでの興業が年末以外にも行われる運びとなった。
新日本プロレス、およびプロレス界に活気があった時代には年三回の東京ドーム興行が行われていたと聞いていたがまさか今復活するとは...!
何が行われるのか
大きな会場で試合がある、それだけでファンは大変な出来事があると考えてしまうもの。
具体的には以下の二つのどちらかが行われるというのが個人的な予想。
- AEW勢の本格的な殴り込み
- 二部制の発表
AEW乗り込んでくる説
今年に入って試合映像がワールドに提供されたり、KENTA選手が殴り込みに行ったり公式サイトで「AEW」の文字が見られるようになったりと明らかに何かしらの動きがあることを匂わせてきた。
どこかのタイミングで抗争が始まるのではないかというのはほとんどのファンが予想したものだが、そのタイミングはもしかするとレッスルグランドスラムではないか。
横浜というのは日本の中でも異国との接点が多い場所として認識されている。そこに海外勢であるAEWの面々が乗り込んでくるという構図はアリだ。
さらに日本の屋外球場という特殊な舞台で試合をするのはAEW側にとっても特異の経験として捉えられ、日本へ向かうメリットとして考えられるのではないだろうか。
しかも横浜の二週間後には東京ドームである。
世界中に新日本プロレスの名前が届いているのならば東京ドームでの試合は魅力的に映るはず。
開催日から数えて半年も経たないうちに行ったドーム興行を同じメンツでやるかと言われればそこにも疑問符が浮かぶことがAEW参戦予想の理由だ。
さらには世界ヘビー級ベルトに箔をつける役目になるのではないだろうか。
新日本側のチャンピオン選手が勝利してベルトを守るもよし、流出させても巨大団体AEWで衆目を集めることができる。
さらに踏み込めば現在のチャンピオン飯伏選手とAEWのベルトを持つケニーオメガ選手の激突は見るものを興奮させることになるだろう。
DDTから新日本へ活躍の場を移し今や団体最高峰のベルトを保持するまでになった飯伏選手と団体を立ち上げトップに立ったケニー選手。
ゴールデンラヴァーズの総決算がレッスルグランドスラムで行われる可能性は十分にあると思っていいだろう。
二部制になる説
新日本プロレスのぜいたくな悩みなのだが選手が多すぎてスポットライトが当たる人物が限られてくるというものがあるように筆者は思う。
例えばヘナーレ選手、ヤングライオンを卒業してからごつごつしたファイトを見せるもベルトに絡むことはなく苦しんでいる。
何かのきっかけがあれば選手が急速に成長するのは昨年YOSHI-HASHI選手が存分に示してくれた。
立場は人を作る作用をもっと頻繁に起こすために二部制はいいのではないだろうか。
何より対立軸が多くなるというのは盛り上がりに拍車をかける。
ベルトの統一、二部制とくればWWEの模倣だと言われるだろうが良いものは取り入れてしまうのも手だ。
見せている試合はエンターテイメント色の強いWWEとハードさのある新日本で差別化できているのだから。真似できる良い部分は見習っていくのも今後の世界進出には必要な姿勢ではないだろうか。
上記メリットもあるが二部制にはもちろん危険も潜む。
深夜番組がゴールデンに進出した際に起こる毒が抜けて番組の質・人気が下降するような現象だ。
客観的に見て今の新日本プロレスはカリスマ的な深夜番組というイメージだ。反対にWWEは鉄板のゴールデン番組。
ゴールデンにはない自由さや価値観を求めて多くの人が新日本プロレスに熱狂している可能性は大いにある。
特に海外からの視聴者層は日本人以上にWWE的な流れに拒否反応を起こす可能性がある。
個人的にメリットもあるが失うものも多い2部制は自分で予想しておいてなんだが行わない方がいいと思う。可視化できないリスクがあまりに大きい。
今回の統一ベルト新設のように段階を踏まず大きな変化を加えた場合には団体が根っこから折れる可能性すらある。
しかし、より多くの選手に光が当たる環境も欲しいというジレンマはこれからも続く、難しい。
どうなろうと楽しみ
正直、筆者としてはAEWが乗り込もうが2部制になろうが、特に何のサプライズもなかろうが好きな団体の選手が大きな舞台で試合をする。これだけで楽しみになるのだ。
例年にない興業がどんな変化をもたらすのか楽しみにしている。
石井智宏 VS SANADAはターニングポイントになり得るか
3.9岡山ジップアリーナで行われる興行のメインイベントは石井智宏選手とSANADA選手によるNJCトーナメント一回戦だ。
熱戦続きのNJC2021、一回戦屈指の注目カードは単純な勝敗のみならず選手同士がぶつかることで起こる化学反応が期待できそうで非常に楽しみだ。
この二人には共通項がある。
- 寡黙なスタイル
- いわゆる大関格
- さまざまな団体を渡り歩いてきた
といったものだ。
こうやって見ると備わっている特徴やストーリーは似通っており、似た者同士がぶつかり合うだけに思えてくるが筆者はSANADA選手に現状足りていないものを石井選手は持っていると思うのだ。
それは言語化しようのない「見る者の心を動かす」術だ。
現状、観客の心に訴えかける力を十全に発揮しているのが石井選手、苦手としているのがSANADA選手というのが筆者の印象である。
この心を揺さぶる何かを伝えるノウハウはない、リングの上でぶつかってお互いの全てをぶつけあって初めて獲得していくものだ。
その好例がある、昨年のBOSJ27を通して一気にジュニア戦線のトップへ躍り出たエルデスペラード選手だ。
彼はNJC2020での石井智宏戦を通して自分のファイトスタイルに「闘い」の色が一段とついたことがターニングポイントの一つだと振り返っていた。
大躍進の要因は元来から持つ華やかさとエレガントさに闘志や感情が乗っかったことだと筆者は考えている。
筆者はその化学反応のようなものが石井選手とSANADA選手の一戦で起こることを願っている。
天性のものをSANADAは持つ
残酷な話をしよう、石井選手は天性のものを持つレスラーではない。
体格に恵まれているわけでもない、いわゆる華があるタイプでもない。レスラーに必要な先天性のものは持っていなかったと言ってもいいだろう。
それでも彼が武器とする脅威的な頑丈さと折れない精神は見る者の心を打つ。
成長することで手に入れられるものを最大限伸ばしてここまで上り詰めてきたのが石井選手の恐ろしい所である。
反対にSANADA選手は筆者の主観だがスター性に溢れており骨格にも恵まれている。プロレスラーを目指す者ならこぞって手に入れたい要素を彼は獲得している。
そして成長の余地も。
石井智宏選手は現在45歳、選手生命の長いプロレス界では定義が難しいがベテランの域に入ってきたと言えるだろう。
一方のSANADA選手は33歳で今まさにピークを迎えようとしている。
その状態でこの二人は同列にいると筆者は考えている。
二人ともトップ層にあと一歩で食い込むといった位置といったところだろうか。
成長の余地がたっぷりあるSANADA選手は何かのきっかけがあればすぐにでも最強格に変貌する可能性がある。
そのきっかけを与えられるのは石井選手だと個人的には思えてならないのだ。
決してSANADA選手に試合中、感情がわかりやすいように吠えてもらったり、バチバチの試合スタイルに変わってほしいというわけではない。
まさにエルデスペラード選手がそうしたように石井智宏選手の持つ闘いのエッセンスを試合を通して自身に加えてほしいのである。
美しく、清潔
美しすぎる、それが個人的なSANADA選手への印象である。
過度に対戦相手を煽ることはなく、ラフな試合に持ち込むわけでもない。
ベルトにものすごい執念を見せるわけでもなく自身の道を究めていく求道者のようにも見える。
とても露悪的な言い方をすればスカしているように映ってしまいがちなのだ。
トップに立つには自分をさらけ出し、心の隅まで絞り出すことが必要である。
時には信条やプライドを捨てることになってもである。
広島で行われた飯伏選手との一戦。SANADA選手が掟破りであるコーナーへのやり投げをした時、この戦いに勝つために「頭から落とすだけがプロレスではない」というSANADA選手の心情を曲げてまで闘いに勝とうという欲が見られた。
ほとんどの人間は何かしらの欲を持っている。汚れていない人間などいないだろう。その自身を投影するにはSANADA選手は少々清潔すぎるのではないか。
そんな思いを確信にさせるものがやり投げを敢行したSANADA選手の姿にあった。
あの瞬間グッと心が動いたのをいまだに覚えている。
意地でも勝ちたいというSANADA選手の思いがあの瞬間、可視化されて心の深い場所まで訴えてきた。
この感覚が頻繁に起こせるようになってしまえばSANADA選手に死角はない。
そして何としても勝ちたい、相手を上回りたいといった感情を行動で伝えてくるのが石井選手である。
ミニマリズムにハマっていると語るSANADA選手が「闘い」や「感情」の項目にときめきを感じてくれることが一ファンとしての悲願である。